寝る前にサクレを食べると太る？氷菓が睡眠や身体に及ぼす影響
暑い日の終わりや、お風呂上がりのリラックスタイムに、ひんやりとしたサクレが無性に食べたくなることはありませんか。
特に寝る前に食べるアイスは格別ですが、その一方で「こんな時間に食べたら太るのでは？」「睡眠に何か影響があるかもしれない」といった不安もよぎるものです。
この記事では、寝る前のサクレが体に与える影響や、どうしても食べたい時の適切な時間について、詳しく解説していきます。
- 寝る前にサクレを食べることの身体への影響
- サクレが睡眠の質に与える具体的なデメリット
- どうしても食べたい時の太りにくい食べ方のコツ
- 夜中にアイスが食べたくなる原因と対策
寝る前にサクレを食べる際のリスクとは
夜寝る前にサクレを食べると太る？
結論から言うと、夜、特に寝る前にサクレなどのアイスを食べると太りやすくなる可能性があります。
その理由は、夜間の身体のメカニズムとアイスの特性に関係しています。
夜間は日中に比べて活動量が大幅に低下するため、エネルギー消費量も少なくなります。
この時間帯にカロリーを摂取すると、消費されずに余ったエネルギーが脂肪として体に蓄積されやすくなるのです。
また、私たちの体には「BMAL1（ビーマルワン）」という、脂肪の蓄積を促進するたんぱく質が存在します。
このBMAL1は時間帯によって分泌量が変動し、夜22時から深夜2時にかけてピークに達すると言われています。
つまり、この時間帯は最も太りやすい「魔の時間帯」とも言えるのです。
夜食が習慣になると・・・
サクレのような糖分を多く含むアイスを夜に食べると、血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌されます。
インスリンには、エネルギーを脂肪として溜め込む働きがあるため、夜食の習慣は肥満に直結しやすいと考えられています。
サクレは「氷菓」に分類され、アイスクリームやラクトアイスに比べて脂質は少ないものの、糖質は含まれています。
日常的に寝る前に食べる習慣がついてしまうと、カロリーオーバーや脂肪蓄積のリスクを高めることになるでしょう。
就寝前のサクレは睡眠に悪影響を及ぼす？
寝る前のサクレは、睡眠の質を低下させる可能性が高いと考えられています。
美味しいご褒美のつもりが、実は快適な眠りを妨げているかもしれません。
主な理由は3つあります。
1. 消化活動による内臓への負担
就寝前に食べ物を摂取すると、眠っている間も胃や腸などの消化器官は働き続けなければなりません。
体が本来、休息・修復モードに入るべき時間帯に内臓が活動を強いられるため、脳が完全にリラックスできず、眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めたりする原因になります。
2. 血糖値の乱高下
サクレに含まれる糖分は、血糖値を急激に上昇させます。
すると体は血糖値を下げるためにインスリンを分泌しますが、この血糖値の変動がストレスとなり、リラックス状態を司る副交感神経ではなく、活動モードの交感神経を優位にしてしまうことがあります。
結果として寝つきが悪くなったり、深い睡眠に入りにくくなったりするのです。
3. 体温の低下
冷たいアイスを食べると、一時的に体の深部体温が下がります。
人の体は、深部体温が自然に下がることで眠りに入りやすくなる性質がありますが、急激に体を冷やすと、逆に体温を上げようとする反応が働き、自律神経が乱れてしまうことがあります。
これにより、スムーズな入眠が妨げられる可能性があります。
快適な睡眠のためには、寝る直前の飲食は避け、体をリラックスさせてあげることが大切です。
どうしても食べたい場合は、時間に余裕を持つなどの工夫が求められます。
夜遅い時間帯のアイスはニキビの原因になる？
夜遅くに食べるアイスが、ニキビや肌荒れの間接的な原因になることは十分に考えられます。
美肌を保ちたい方にとって、寝る前のアイスは注意が必要です。
その理由として、まず脂質や糖質の過剰摂取が挙げられます。
アイスクリーム、特にラクトアイスなどには植物性油脂が多く含まれている場合があり、脂質や糖質を多く摂ると皮脂の分泌が過剰になることがあります。
過剰な皮脂は毛穴を詰まらせ、ニキビの原因菌であるアクネ菌の温床となってしまうのです。
また、糖質を分解する際には、皮脂の分泌をコントロールする働きを持つビタミンB群が大量に消費されます。
夜食で糖質を摂りすぎると、肌のために使われるはずだったビタミンB群が不足し、結果的に皮脂のバランスが崩れてニキビができやすくなる可能性があります。
乳製品とニキビの関係
ある研究では、牛乳やアイスクリームなどの乳製品の摂取頻度が上がると、ニキビにつながる可能性が示唆されています。
また、砂糖入り飲料や脂肪分・砂糖入り製品の摂取が、大人のニキビ発症と関連しているという報告もあります。
サクレは氷菓であり乳製品ではありませんが、アイス全般の傾向として知っておくと良いでしょう。
さらに、前述の通り、夜食は睡眠の質を低下させる可能性があります。
睡眠不足はホルモンバランスの乱れを引き起こし、肌のターンオーバーを滞らせる大きな要因です。
これにより、ニキビが悪化したり、治りにくくなったりすることも考えられます。
寝る前にアイスを食べると血糖値はどうなる？
寝る前にサクレのような糖質を含むアイスを食べると、血糖値は急激に上昇し、その後、不安定な状態になる可能性があります。
食べ物から摂取された糖質は血液中に入り、血糖値を上げます。
特に、消化吸収の速い砂糖や果糖ぶどう糖液糖などが含まれるアイスは、食後の血糖値を急激に跳ね上げやすい食品です。
体がこの急上昇した血糖値を下げようと、すい臓からインスリンというホルモンを大量に分泌します。
寝る前は体を動かすことがないため、このインスリンの働きによってエネルギーとして使われなかった糖は、効率よく脂肪細胞へと運ばれてしまいます。
就寝中の低血糖リスク
夜遅くに糖質を摂ると、就寝中に血糖値が急降下し、低血糖状態に陥ることがあります。
低血糖になると、体は血糖値を上げようとしてアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンを分泌します。
これが交感神経を刺激し、眠りを浅くする原因となるのです。
朝起きたときにだるさを感じたり、すっきり起きられない場合、夜間の血糖値の乱れが影響している可能性も考えられます。
このように、寝る前のアイスは血糖値を大きく揺さぶり、肥満のリスクを高めるだけでなく、睡眠の質にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
寝る前にアイスを食べる際は下痢に注意
寝る前にサクレなど冷たいアイスを食べると、人によってはお腹の調子を崩し、下痢を引き起こすことがあります。
主な原因は、急激な胃腸の冷えです。
冷たい食べ物が一度に大量に胃の中へ入ると、内臓が急激に冷やされます。
これにより消化器官の機能が低下し、食べ物が十分に消化されないまま腸へ送られてしまうことがあります。
消化不良の状態では、腸が刺激されてぜん動運動が過剰に活発になり、下痢につながるのです。
特に、普段からお腹が弱い方や冷え性の方は注意が必要です。
漢方の考え方では、もともと体内に「冷え」がある状態で冷たいものを摂ると、体はそれを早く排出しようとして下痢を引き起こす、と考えることもあるようです。
また、乳製品が多く含まれるアイスクリームやアイスミルクの場合、乳糖不耐症（牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できない体質）の方が食べると下痢の原因になることもあります。
その点、サクレは「氷菓」に分類されるため乳糖はほとんど含まれていませんが、いずれにせよ体を冷やすことへの注意は必要でしょう。
寝る前に氷を食べるとどんな影響がある？
サクレのような氷菓を好む方の中には、氷そのものをガリガリと食べるのが好きという方もいるかもしれません。
しかし、無性に氷が食べたくなる状態が続く場合、「氷食症（ひょうしょくしょう）」のサインかもしれません。
氷食症は、栄養価のないものを無性に食べたくなる「異食症」の一種とされています。
そして、この氷食症の最も多い原因として知られているのが、鉄欠乏性貧血やその手前の「隠れ貧血」と呼ばれる状態です。
なぜ鉄分が不足すると氷を食べたくなるのか？
明確なメカニズムは完全には解明されていませんが、いくつかの説があります。
例えば、鉄分が不足すると口の中の温度が上がりやすくなり、それを冷やすために氷を求めるといった説や、貧血による脳の血流低下を氷を噛む刺激で改善させようとしている、という説などです。
実際に、鉄欠乏性貧血の患者さんに鉄剤を投与すると、長年続いていた氷食症が短期間で改善するケースは少なくありません。
もし、季節を問わず日常的に氷を大量に食べてしまう、氷を食べないと落ち着かないといった症状があれば、それは単なる癖ではなく、体が発しているSOSサインの可能性があります。
一度、医療機関で相談してみることをお勧めします。
寝る前のアイスにメリットはあるのか？
これまでデメリットを中心に解説してきましたが、寝る前のアイスにメリットは全くないのでしょうか。
限定的ではありますが、いくつか考えられる点もあります。
まず、最大のメリットは精神的な満足感やストレス解消効果でしょう。
甘いものは、脳内でセロトニンというリラックス効果のあるホルモンの分泌を促すと言われています。
1日の終わりに好きなものを食べるという行為は、頑張った自分へのご褒美となり、心を落ち着かせる時間になるかもしれません。
また、夏場の寝苦しい夜などには、アイスを食べることで一時的に体温を下げ、涼しさを感じられるというメリットもあります。
デメリットの方が大きいことを理解しよう
ただ、これらのメリットは一時的なものであることを理解しておく必要があります。
前述の通り、寝る前のアイスには、肥満、睡眠の質の低下、血糖値の乱れ、肌荒れなど、長期的には多くのデメリットが伴います。
ストレス解消やリラックスが目的なら、ハーブティーを飲んだり、ストレッチをしたり、音楽を聴いたりするなど、他の方法を探す方が健康的と言えるでしょう。
メリットを享受するためだけに、寝る前のアイスを習慣にすることは推奨されません。
寝る前にサクレが食べたくなった時の対処法
アイスを寝る前に食べるなら何時間前がいい？
どうしても夜にアイスを食べたい場合、最も重要なポイントは「時間」です。
理想は、就寝する3時間前までに食べ終えることです。
胃の中に食べ物が入ってから、消化活動が落ち着くまでには一般的に2〜3時間かかると言われています。
就寝の3時間前までに食事を済ませておけば、眠りにつく頃には胃の活動が一段落しているため、消化器官への負担が減り、睡眠の質への影響を最小限に抑えることができます。
食べる時間帯のゴールデンタイム
もし調整が可能であれば、アイスを食べる時間は15時〜18時の間が最もおすすめです。
この時間帯は1日の中で最も体温が高く、代謝が活発なため、摂取したカロリーがエネルギーとして消費されやすいとされています。
また、脂肪を溜め込む働きをするたんぱく質「BMAL1」の分泌量が最も少ない時間帯でもあります。
反対に、22時以降、特に深夜の時間帯はBMAL1の分泌がピークに達するため、最も太りやすい時間帯です。
夜食としてアイスを食べるのであれば、できるだけ早い時間に、そして就寝3時間前というルールを意識することが大切です。
| 時間帯 | 体の状態 | アイスを食べる推奨度 |
|---|---|---|
| 15時～18時 | 体温が高く、代謝が活発。BMAL1が少ない。 | ◎ 最適 |
| 就寝3時間以上前 | 消化の時間を確保でき、睡眠への影響が少ない。 | ○ 推奨 |
| 就寝直前～3時間前 | 消化活動が睡眠を妨げる可能性がある。 | △ 注意 |
| 22時以降 | BMAL1の分泌が増え、脂肪を蓄積しやすい。 | ✕ 非推奨 |
夜アイスが食べたい時は何が不足している？
夜中に無性にアイス、特に甘いものや冷たいものが食べたくなる時、それは特定の栄養素が不足しているという体からのサインかもしれません。
冷たいものを欲する場合：鉄分不足の可能性
特に氷やシャーベットのような冷たいものを強く欲する場合、鉄分が不足している可能性があります。
前述の「氷食症」にも関連しますが、鉄分が不足して貧血気味になると、体は酸素を全身に巡らせようとして体温が上昇することがあります。
その結果、体を冷やすために無意識に冷たいものを求めてしまうという説があります。
もし冷たいアイスへの欲求が強い場合は、普段の食事でレバーや赤身の肉、あさり、ほうれん草など鉄分が豊富な食材を意識して摂ると、欲求が和らぐかもしれません。
甘いものを欲する場合：マグネシウム不足の可能性
チョコレートなど甘いものが無性に食べたい時は、マグネシウムが不足しているサインかもしれません。
マグネシウムはストレスを緩和する働きがあるミネラルです。
これが不足すると、ストレスを感じやすくなり、それを解消するために手軽に幸福感を得られる甘いものを欲するようになります。
この場合は、枝豆などの豆類や海藻類、ナッツ類などを食事に取り入れることが推奨されます。
もちろん、単純なストレスや習慣、あるいは日中の水分やエネルギー不足からアイスを食べたくなることもあります。
しかし、特定の食べ物への渇望が続く場合は、一度ご自身の食生活を見直してみるのも良いでしょう。
寝る前にアイス食べてしまった場合の対策は？
「つい、寝る前にサクレを食べてしまった…」そんな日もあるでしょう。
罪悪感に苛まれる必要はありませんが、翌日に少し工夫をすることで、体への影響を最小限に抑えることができます。
1. 翌朝は固形のタンパク質を摂る
夜にアイスを食べると、翌朝は血糖値が下がっている状態になりがちです。
ここで朝食を抜くと、体は筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとし、代謝が落ちる原因になります。
おすすめは、卵やヨーグルト、鶏むね肉などの固形のタンパク質を摂ることです。
タンパク質は熱産生を促し、下がった代謝を上げるスイッチを入れてくれます。
2. 午前中に水分を多めに摂る
アイスを食べた翌日は、体がむくみやすく感じることがあります。
これは細胞内に余分な水分が溜まっているサインです。
午前中に意識して水を多めに飲むことで、体内の巡りを良くし、余分な水分や老廃物の排出を促しましょう。
3. 軽い運動を取り入れる
摂取してしまったカロリーを消費するために、翌日は少し体を動かすことを意識しましょう。
特別な運動でなくても、一駅分歩く、階段を使うなど、日常の中での活動量を増やすだけでも効果が期待できます。
食べてしまったことを後悔して、次の食事を極端に抜くのは逆効果です。
かえって血糖値の乱高下を招いたり、次の食事で吸収しやすくなったりします。
3食きちんと栄養バランスを考えて食べることが、結果的に体を整える近道ですよ。
子供が夜寝る前にアイスを食べたいと言ったら
子供が寝る前に「アイスが食べたい！」と言うと、つい甘やかしてあげたくなりますよね。
しかし、幼児期の寝る前のアイスは、生活リズムの乱れにつながるという研究結果があり、注意が必要です。
愛国学園短期大学の研究チームが2024年9月に発表した論文によると、夜食を食べる幼児は夜型の生活リズムになりやすく、特にジュースやアイスクリームといった糖分の高い夜食は、夜型化と強く関連していることが示されました。
夜食とスクリーンタイムの悪循環
この研究では、夜食を食べる際にスマートフォンやテレビなどのスクリーンタイムが長いほど、夜型の傾向がさらに強くなることも指摘されています。
夜のアイスが、ダラダラと夜更かしをする習慣の引き金になってしまう可能性があるのです。
また、大人の場合と同様に、子供にとっても寝る前の糖質摂取は睡眠の質を低下させたり、朝の目覚めを悪くしたりする原因となり得ます。
子供の健やかな成長のためには、規則正しい生活習慣が非常に重要です。
夜寝る前にアイスを欲しがった場合は、その理由（暑い、口寂しいなど）を聞き、麦茶を飲ませる、早めに歯磨きをして寝る準備をするなど、別の方法で気を紛らわせる工夫ができると良いでしょう。
どうしても与える場合は、時間を決めて少量にするなどのルール作りが大切です。
寝る前にサクレを食べる際のリスクとは？総括
この記事のポイントをまとめます。
- 夜寝る前のアイスは太る原因になりやすい
- 理由は夜間のエネルギー消費量の低下にある
- 脂肪を溜め込むBMAL1は夜22時以降に増加する
- 就寝前の消化活動は睡眠の質を低下させる
- 血糖値の乱高下が眠りを浅くする可能性がある
- 体を冷やしすぎると自律神経が乱れることも
- 脂質や糖質の過剰摂取はニキビの原因になりうる
- どうしても食べるなら就寝の3時間前までにする
- アイスを食べるのに最適な時間は15時から18時
- 無性に氷が食べたい時は鉄分不足のサインかもしれない
- 甘いものを欲するならマグネシウム不足の可能性も
- 食べてしまった翌朝はタンパク質を摂取する
- 子供の夜食は夜型生活につながるため注意が必要
- ストレス解消が目的なら他のリラックス法を探すのが賢明
- 正しい知識を持って賢く付き合うことが大切